理想の世界
科学の進歩が著しい現代において、食糧問題を徹底的に解決する事により、人間社会が生み出すその他全ての問題を改善することができます。
食糧問題とは、摂取の枯渇を主題にとらえられるべきではなく、排泄の抑制をその本質ととらえて、対応をはかるべきであります。
ここに、私が研究と熟慮を重ねた理想的なモデルケースを物語として提示し、かかる問題の根本的な解決への指針を示させていただきたい。
『ジャー…、ガチャ、バタン』
「ふぅ…、今日も朝から快便♪快便♪」
朝ごはんにありつく為の排泄となると、いっそう気合が入るものだ
今日はいつもの1.5倍増し出たみたい
「お母さん早くー、お腹空いたー」
食べ盛りの子供達はもう食卓についている
「はいはい、今もって行くからちょっと待ってちょうだい」
パックが少し重いから今日はお昼ごはんあまりものかな、などと考えながら便器の横にある引き出しを抜き取ってそのまま電子レンジへ入れてしまう
便利な世の中になったものだ
かつては台所からお母さんが包丁の音を軽快に響かせ、ふんわりと漂う味噌汁の匂いが朝ごはんの風景だったが、今はこの完全自然エネルギー駆動無公害二酸化炭素排出無しの電子レンジに付いてる『排泄物→食物』ボタンをひと押しするだけ
「今日は何ができるかなー?楽しみだねーお母さん♪」
「そうねー♪」
『チーン』
「はい、できましたー」
「すごい!今日はエビフライになったよ!」
「よかったわねー、おいしそう。…あ、でもごはん炊いてなかったわー」
「えー、ごはん食べたいよー」
「そうね、じゃあちょっとお母さんもう一発頑張っちゃおうかしら☆」