<span style="font-weight:bold;font-size:xx-large;">「バタフライエフェクトを見て」</span>
良い映画でしたよ。
うん。間違いない。
「デッドコースター」監督のコンビが再タッグ。
エンターテイメントとしても映画芸術としても評価されている一本なんじゃないだろうか。
「デッドコースター」の時の、ちょっと無理やりな部分がうまく洗練されていると思う。
なんていうか、おいしいチーズを作れる職人がおいしいチーズケーキも作れるようになった、みたいな感じ。(違うかな?)
そして役者も中々良かった。
ストーリー上、同じ登場人物で幾つかのキャラクターを演じ分けることになるのだが、うまい具合に一人の人間のいくつかの人生のように見えている。
もちろん演出は抜群に良い。
だがそれだけじゃない。
結構シビアなシチュエーションも挿入されているけど、共通の時代を生きた友達同士の空気がどこまでいっても漂ってくる。
中学や高校の友達と久しぶりに再会して、お互い当時とは全く違った人間になっていた時に感じる違和感みたいなものがあるでしょう?
だけどもしそれが、例えば5歳までずっと一緒に遊んでいた幼馴染ならどうだろう。
年を経れば経るほど、子供の頃に感じていた空気を取り戻すのは一瞬の出来事になるんじゃないだろうか。
物語の中にはたくさんイイ奴が登場する。
それこそ、主人公のエヴァンが必死で守ろうとする幼馴染なんかよりよっぽど優しくて思慮ぶかいような。
大学のルームメイトのサンパー。
刑務所で同室になったカルロス。
そんな素晴らしい友達がいても、やっぱり幼馴染とは違うものだ。
そこがこの物語の鍵になっている。
そこをうまく表現している役者達の力量があってこそのおもしろさ。
あえて難を言えば。
SFであるが故の情の無さが少し悲しい。
主人公の行動原理に「愛」があれ程深く関わっているのなら、あと少しで構わないから主人公自身の中の愛を表現して欲しい。
そうすればもっと主人公に共感できたんじゃないだろうか。