洋食入舟
エビフライ、スープ、ライスを食した。
外から見ると普通の昭和の雰囲気漂う民家で、中に入ると普通の民家。
テーブルや椅子は昭和の家庭を思い起こさせる使いこまれたものに見えるが、清掃が行き届いていて気持ちが良い。
80過ぎたおばあちゃんとおばさんが給仕をしていて、せかせかと動き回ったり馴染みのお客と談笑したり、実家に帰ってきたみたいな気がするくらい落ち着く。
二人とも清潔感があり、おばあちゃんはかわいくて愛敬があってマスコットのような存在だそう。
まず、スープが運ばれてきた。
温かいポタージュスープ。
香りも素晴らしく、ひとくち口をつけただけで上質の素材を丁寧に料理したことがわかる。
うまい。圧倒的に。
あのスープが300円足らずとは驚きだ。
そしてエビフライ。
最初におばあちゃんが、頭から尻尾まで食べるんですよ、と教えてくれる。とても親切だ。
なぜなら、あのエビフライの頭と尻尾を残したらだれでも「永遠に後悔する」からだ。
ニューカレドニアから仕入れているらしい。
大きすぎず小さすぎずちょうど良い大きさで、頭にはミソがたっぷり詰まっている。
殻の香ばしさ、質の良いパン粉を使った品の良い衣、ミソとわずかの身が一気に口の中に広がって、感動するおいしさ。
泣きたくなる。
そして尻尾は殻の香ばしさが存分に味わえ、しかも固すぎず、口の中でサッと旨味に変わる。
美しい。あのお店にまた必ず訪れたい。