<span style="font-weight:bold;font-size:large;">「誕生日プレゼントがアレだった事の思い出の話」</span>
思い出はとても人間臭い。人間らしい代物だ。
記憶ではない。
思い出であることが大切なことだからだ。
親父が還暦を迎えて、姉貴と二人でとお祝いに何を送るか思案している。
しかし、プレゼントをする事に慣れていないので軽い気持ちで贈るものが思い浮かばない。
例のごとく、対象と主体を入れ替えるて考える作戦を使おうと思う。
私は何を贈られた時、一番嬉しかっただろう・・。
考えてみると、親から贈られて嬉しかったものが特別にはないような気がしてきた。
就学の為のお金やおねだりして買ってもらった自転車も、今は自分でその代わりのものを手に入れている。
もはや当時の物はどこにいったかさえわからない。
さかのぼってさかのぼって、
とうとう小学生の低学年まで時を巻き戻してみると、やっと心当たりに思い当たった。
グローブだ。
そう、野球のグローブを貰った。
おそらく小学校3年生の頃だったと思う。
地元の少年野球チームに入っていた私は、それまで誰かのおさがりのグローブを使っていた。
自分以外のチームメイトはみんな高学年用の大きなグローブを使っていたが、
だけどそれがちっとも羨ましくは感じていなかった。
なぜなら、当時私は親父が買ってきたファミコンに夢中で、
野球などコーチをしている親父の趣味に付き合っている程度にしか考えていなかったからだ。
やがて周りのチームメイトがまとめて卒業する事になり、新しく自分と同世代の子供達が入ってくるようになる。
そんな折、私の誕生日が近づいてきていた。
プレゼントへの想いを胸ふくらませて待ち構えている私。
そしてその日になると、私は家の片隅に置かれた包みを見つける。
ちょうどメガドライブ位の大きさだ!!(ヤッター!!)
開けてみたらグローブだった。(泣)
その瞬間私は凍りつき、本当に泣きそうになった。
そしてつまらなそうにグローブをいじりまわしているうちに、だんだんとなんだか不思議な気持ちが沸き起こってきた。
なんだかワクワクして、放られたボールをキャッチしたい衝動が抑えきれない。
その夜改めて誕生日を祝ってもらった。
ケーキ、料理、家族。
そして私の人生で最も幸せで、思い出深い少年野球時代が開幕した。
親父が監督で私はエースピッチャー。
きっとあの頃程充実して愛を感じていた時間は他になかったんじゃないだろうか。
ああ、やっと思い出した。
きっとこれだ。
私は
「幸せに育った」
と思っている。
ここから考えよう。
この思い出からプレゼント案を生み出そう。